covid-19陽性数の変化

2020年9月18日 | By 縄田 直治 | Filed in: データの利活用, 統計.

連日のように行政から検査結果の陽性者数が感染者数として報道されています。以前にここに書いたように、陽性者数自体は検査数が増えれば陽性率に応じて増えるので、検査対象をどのように選定しているかを示さなければ単純な陽性数のみを報道する意味は乏しい、むしろ陽性数を調整することで感染が広まっている(あるいは逆)かのような印象を操作できる危うさがあることを指摘しました。

実際の陽性数と検査対象数を比較したグラフがこれです(9月17日現在)。

ご覧いただければよくわかりますが、右にある点ほど検査数が多いことを表し、上にある点ほど陽性者が多いことを表します。

まず分かることは、検査能力(検査できる件数)が、2月3月4月の群、5月6月の群、7月以降の群に傾向が分かれる点です。2〜4月群は右端が500件程度です。この頃は保健所の検査しか集計されていないはずなので、本来の東京都全体の検査能力を表現していませんが、行政が用いているデータとしてそうであったという点は重要です。5月に入り検査能力が一気に2500件まで増えていることがわかります。またグラフの傾きが明らかにそれまでと比べて低くなっているので、陽性者の率も減っています。

これが7月に入ると様相が変わってきます。検査能力が一気に6000件程度まで増えていることがわかります。そして実際の検査数に対応して陽性者が比例的に発生していることも明らかですね。

9月に入ってもこの傾向は同じですが、5500件辺りの検査数は日々それほど変わっていないようですが、グラフの傾きがやや落ち着いてきています。つまり陽性者の割合がそれまでよりも下がっているということです。

但し以前も触れたように検査対象とされている人がどういう属性の人なのかが報告されていないので、夜の街を狙い撃ちした結果として率が下がったのか、無作為的に世の中全般的に陽性率が下がっているのかはわかりません。

9月に入る頃から地方での陽性の増加が報道されるようになっていますが、これも検査能力が増強により陽性者が増えているだけのような予想が立ちます。一番大事なのは、入院加療を要する(と法律ではなく医師が判断する)重症者や基礎疾患のある人たちの感染ですが、そのデータはありません。

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