売上に係る不正(監査範囲限定付)

2009年6月25日 | By 縄田 直治 | Filed in: 内部統制報告書.

売上にかかる不正会計を招いた内部統制の重要な欠陥が2件公表された。
E04521:広島ガス株式会社の内部統制報告書(平成21年3月期)

3 【評価結果に関する事項】下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、重要な欠陥に該当するものと判断した。
 したがって、平成21年3月31日現在の当社の財務報告に係る内部統制は、有効でないと判断した。

                      記

(1)不備の内容
 有価証券報告書「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 追加情報」において詳細に記載しているとおり、連結子会社である広島ガス開発株式会社及び広島ガスリビング株式会社において、循環取引による実体を伴わない不適切な取引が平成11年度から当期まで行われていたことが判明し、当年度及び過年度の連結財務諸表の売上高、売上原価等に重要な修正を行うこととなった。
 これは、当社のグループ各社に対するモニタリング機能が不足していたこと、及び上記2社において管理者のリスク管理意識が不足していたことにより取引の実在性の確認手続に不備があったこと、加えて広島ガス開発株式会社においては、取引開始から債権管理に至るまでの職務分掌が不十分であり、また、業務処理管理部門から営業部門に対するモニタリングが不十分であったことを原因とするものである。

(2)事業年度末日までに是正されなかった理由
 不適切な取引の発覚が期末日直前であったこと、不適切な取引が長期にわたって行われていたため、その取引実態の把握、原因の追究に相当の時間を要したことにより、事業年度末日までに是正を完了することができなかった。
 当社は、統制環境の改善、リスク管理意識の向上、経営管理体制の強化を3つの柱として、内部統制システムの一層の強化に向けた取り組みを進めていく計画であり、平成21年5月に新たに設置した内部統制推進部を中心に取り組みに着手している。
 〔主要な取り組み内容〕
 ①統制環境の改善
  ・リスク管理意識のさらなる醸成
  ・取締役会の監督機能強化
  ・グループ経営陣によるモニタリング機能の強化
 ②リスク管理意識の向上
  ・役職員に対するリスク管理教育・コンプライアンス教育の継続、強化
  ・定期的なリスク管理調査およびコンプライアンス意識調査
  ・広島ガスグループ社員行動指針の再徹底
 ③経営管理体制の強化
  ・内部統制推進部門の設置
  ・グループ内部監査の強化
  ・グループ業務の監督活動の機能強化

付記事項として、期末日後に重要な欠陥が是正されたとは記載されていないため、提出日現在においてもその状態は継続しているのか、あるいは評価が出来なかったのだろうか。

連結財務諸表に対する監査意見は適正意見が付されているものの、追記情報として不正に関係した訴訟提起の後発事象が記載され、内部統制監査報告書は「適正」意見となっているものの、追記情報として財務諸表監査範囲の制約があったことが記されている。

追記情報(連結財務諸表監査)

1.注記事項(連結貸借対照表関係)に記載されているとおり、連結子会社である広島ガス開発株式会社は、同社が行った建材販売取引に係る不当利得返還請求訴訟を提起されている。当該訴訟の最終的な結論は現在のところ得られていないため、その判決により生ずるかもしれない負担金額については連結財務諸表に計上されていない。

2.重要な後発事象に記載されているとおり、会社及び連結子会社である広島ガス開発株式会社他4名に対する損害賠償請求訴訟が提起されている。

追記情報(内部統制監査)

内部統制報告書に記載のとおり、会社は、連結子会社である広島ガス開発株式会社及び広島ガスリビング株式会社において内部統制の不備を原因として不適切な取引が行われたため、重要な欠陥に該当するものと判断している。当該不適切な取引の調査結果に基づき、会社は当年度及び過年度の連結財務諸表の売上高、売上原価等に重要な修正を行っているが、過年度連結会計年度の監査が当監査報告書日現在において未了であるため、財務諸表監査意見は、監査範囲に関する除外事項を付した限定付適正意見を表明している。

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