売上にかかる不正

2009年6月25日 | By 縄田 直治 | Filed in: 内部統制報告書.

E01200:日本興業株式会社の内部統制報告書(平成21年3月期)

3 【評価結果に関する事項】下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、重要な欠陥に該当すると判断した。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した。

当社は、各支店に属する営業部門において、顧客との間に物品及びサービス提供のための契約を個別に締結しているが、一部の営業部門において適正な売上計上に必要な契約内容の確認及び承認手続の運用が不十分であったため、当期の売上高について重要な修正を行うことになった。
 事業年度の末日までに是正されなかった理由は、営業部門において、適正な売上計上に必要な契約内容の確認及び承認手続が徹底されなかったためである。
 一方、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性は認識しており、適正な売上計上に必要な契約内容の確認及び承認手続に係る新たな業務フローを整備し、内部統制手続の徹底・定着化を図ることで、本事業年度においては、適切な内部統制を整備・運用する方針である。

 

4 【付記事項】評価結果に関する事項に記載された重要な欠陥を是正するために、事業年度の末日後、当社の内部統制システム構築プロジェクトのメンバーに各支店の管理部門担当を加えることで、販売プロセスに係る内部統制手続の定着化を実効的に推進しうる体制とした。同プロジェクト主導により、適正な売上計上に必要な契約内容の確認及び承認手続に係る新たな業務フローを整備し運用を実施した。また、内部監査部門に営業部門経験者を配置するとともに、内部監査を支援する担当者を選任し、内部監査部門主導により、販売プロセスの新たな業務フローに基づくモニタリングを強化した。以上の対応に基づき、内部統制報告書提出日までに当該是正後の内部統制の整備及び運用状況の評価を行った。評価の結果、内部統制報告書提出日において、営業部門における適正な売上計上に必要な契約内容の検討及び承認手続に係る内部統制は有効であると判断した。

監査報告書では、提出日現在は有効になっている旨が記載されている。

追記情報

内部統制報告書に記載されている重要な欠陥のある販売プロセスで処理されている取引に対しては会社による調査が実施され、その結果特定された必要な修正はすべて連結財務諸表に反映されており、これによる財務諸表監査に及ぼす影響はない。

なお、内部統制報告書の付記事項に記載のとおり、会社は、事業年度の末日後、販売プロセスに係る内部統制手続の定着化を実効的に推進しうる体制とし、当該是正後の内部統制の整備及び運用状況の評価を行い、内部統制報告書提出日において、当該内部統制は有効である。

日本の内部統制監査制度はダイレクトレポーティングではないのだが、追記情報で、経営者の付記事項ではなく、内部統制が有効かどうかについての監査人が直接意見を付している点が注目できる。

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