従業員不正で重要な欠陥

2009年6月24日 | By 縄田 直治 | Filed in: 内部統制報告書.

E04209:遠州トラック株式会社の内部統制報告書(平成21年3月期)では、従業員による資産の流用とこれをさらに取締役が再流用したことを予防・発見できなかったことを原因とする、重要な欠陥が開示されている。

3【評価結果に関する事項】
 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、重要な欠陥に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。

 当社の元従業員が行っていた当社資産の流用を疑わせる取引に関し、当該元従業員を監督すべき立場にいた元取締役が、上記取引に係る事実関係を認識せず、当該元従業員が流用したと疑われる資産のうち極めて限定的な一部を取得し、適切な処理を行うことなく当社の利益になるものとしてこれを使用したという統制環境の不備となるべき事実。
事業年度の末日までに上記内部統制の不備が是正されなかった理由は、事業年度の末日以降に上記の事実が判明したためであります。

 興味深いのは、重要な欠陥に該当するかどうかは不備が財務報告に与える質的影響・量的影響とを鑑みながら判断することになっているなかで、「重要な影響はない」としながらも、重要な欠陥として開示している姿勢である。
「上記事実による当事業年度の連結財務諸表及び財務諸表への影響は軽微であるものの、現在、上記取引に関する調査を行っており、」ということから、判明している範囲での影響は小さいものの、潜在的な影響が及ぶ可能性が十分に検証されていないことを理由としているのだろうか。

当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性は認識しています。上記事実による当事業年度の連結財務諸表及び財務諸表への影響は軽微であるものの、現在、上記取引に関する調査を行っており、翌事業年度においては、かかる不備を是正し、適切な内部統制を整備・運用する方針です。

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