統制のレベル感

2008年12月28日 | By 縄田 直治 | Filed in: 財務報告統制.

統制のレベルをどこに置くかという標準形はないものと思ってよい。状況によっても価値判断によっても異なるので、絶対的な基準は存在しない。すべてを決めるのは、経営者のリスク評価と対応方針である。

以下のスキットは財務報告統制とはまったく関係ない話だが、底辺にある考え方は、まったく同じものである。

A:どのような家に住んでいますか。

B:郊外のマンションの1Fですが。

A:それでは泥棒が入る心配がありますね。

B:はぁ。でも、マンションはオートロックで管理されていますし、玄関にも当然、鍵がかかっていますから、大丈夫でしょう。

A:いえいえ。最近は物騒ですからね。オートロックといってもお互い顔見知りでなければ、前の人の後にくっついてはいることなど簡単ですし、隣の敷地の壁を乗り越えて侵入など簡単に出来てしまいますよ。そうすれば、玄関ではなくベランダの窓ガラスを割って入ってくることも簡単です。

B:でも、正面玄関脇の壁にもベランダ側にも監視カメラがついていて画像を録画していますからね。犯人はばっちり写りますよ。

A:カメラは人の出入りを撮影しているだけですから、泥棒はその辺を承知の上で、変装して入ってきます。それに泥棒に入られた後にカメラを見ても、盗まれたものは返ってはきませんよ。

B:そうですか。心配になってきたなぁ。

A:そこで、いつ泥棒に入られても安心なように金庫を用意したらどうでしょうか。かなり重いので一人で持ち出すことなど不可能ですし、鍵を開けようにもダイヤル番号が複雑なのでプロでも開くのに数時間を要します。しかも対価性能が高いので万が一の火災のときでも中のものは完全に保護されますよ。

B:でも金庫を買っても中に入れるお金がありません。それに仮に泥棒が入っても、有価証券があるわけでもないし、現金も必要な分しか下ろさないので、盗むものなどほとんどないといってよいでしょう。今のセキュリティレベルで指摘されたような問題があることは承知の上で、我が家としては、そのレベルでの安心感があれば十分だと考えています。財産を保全するために保全する財産以上のお金をかける必要はありません。損害保険で盗難もカバーされているのでそれで十分ではないですか。

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