組織のDNA

2007年4月30日 | By 縄田 直治 | Filed in: 組織力.

強い組織にはよいDNAが組み込まれていると言われる。

DNAとはDeoxyribonucleic acid(デオキシリボ核酸)の略語で、平たく言えば遺伝子である。遺伝子は生体の形質の設計図であり、世代間で継承されていく。つまり、強い組織には、環境に適応する形質が組み込まれており、なおかつ先輩から後輩へとそれが引き継がれていくというアナロジーである。

複数の遺伝子が組み合わされたときに、表に出てくる形質を持つほうの遺伝子を優性、隠れるほうを劣性という。血液型の遺伝子ではAとBは対等なので両者の遺伝子を持つ個体はAB型となるが、AとOの遺伝子を持つ個体の表れ方はA型となる。逆にO型になるためには、OとOの遺伝子を持たなければならない。よって血液型遺伝子の優劣は、A=B>Oという関係になる。

なお、この優劣は遺伝子の性質が表に出るか出ないかを言っているだけで、強い・弱いといった価値判断とは異なるところがポイントだ。つまり遺伝的には優性な性質が表れる確率が4分の3であり、劣性の性質が4分の1というだけである。

さて、強い組織というときの「強さ」を企業環境の変化への適応力とした場合、環境に適応する性質を持つ遺伝子を残し、なおかつその性質を表に出すことができるのが強い組織ということになる。 優性の性質であれ劣性の性質であれ、表に出る性質が環境に適応すればよい訳であり、遺伝子の良し悪しは環境による淘汰によって残るかどうかで決まる。つまり劣性遺伝子どうしの組合せであっても環境に適応できるていればそれは良い遺伝子として残されていく。

だから優性遺伝子が環境適応力を持っていればよいが、劣性遺伝子が環境適応力があるとすれば、あえて遺伝子組換を行なって劣性の性質が表に表れるようにしなければ、強い組織にはならないことになる。 遺伝子の優劣ではなく、環境に適応する性質かどうかを見極めることが必要なのだ。

一般に遺伝子組換は、自然の状態では表に出ない劣性遺伝子を掛け合わせて人間にとってメリットのある性質を表に出す作業である。そうしないと、「声の大きい」優性遺伝子の持つ(優勢)性質が「声の小さい」劣性遺伝子の持つ(優生)性質を押し隠してしまい、環境への適応が遅れ、最後は淘汰されてしまうことになる。 

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