リンゲルマン効果

2022年9月12日 | By 縄田 直治 | Filed in: リスク対応と統制手続.

内部統制の運用の例外に対して、ダブルチェック、トリプルチェックとか、体制の充実とかを述べる監査人が時折いるが、運用の例外はあくまでも例外であってそれが想定されている範囲ならことさら問題にすることはない。もともと内部統制に完璧なものはない。したがって、複数の統制を組み合わせることによって全体として統制目標を満たすという考え方を採るのが普通。

むしろその全体としての機能に問題があるなら、それは例外ではなくデザイン自体に改善すべき点があると考えたほうが良い。

よくあるダブルチェック、トリプルチェックも、単に手順を増やすだけでは効果がない。責任が曖昧になる可能性があるからだ。例えば数字の間違いは、入力者と再検者でチェックするという仕組みも、入力者は再検者が見てくれるだろうと期待し、再検者は入力者がきちんとしているだろうと期待していれば、結局、チェックポイントをいくら増やしても間違いは下流に流れていく。

人は集団になると途端に怠けだす。これを述べたのがリンゲルマン効果という。点滴で用いる輸液のリンゲルと同じ名前だが直接は関係ない。

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