不正の類型化

2009年8月13日 | By 縄田 直治 | Filed in: 不正.

Certified Fraud Examiner (CFE)という資格があるようなので、夏休みを利用して紐解いている。

いま読んでいるのは米国の問題集の邦訳版なので、金融機関や医療機関の不正が主に類型化されているのだが、この類型化のノウハウとそれによる応用問題を考える力は、監査を行う公認会計士には必須の知識だろう。監査現場としては、不正の類型化(勘定科目別、業種別、手口別)は絶対に必要だと感じていた。

監査を実施うするうえで最も注意しなければならないのは、不正リスクである。しかし、永年、監査論の世界では、監査人の業務は不正を摘発することではなく(不正によるものであろうとなかろうと)財務諸表の虚偽表示を発見し是正させることであるという建前であった。だからかどうかは分からないが、不正の手口を共有しようという発想はあまりなかったように思う。悪いことを口にして「言い当てる」ことを忌み嫌う言霊信仰は少しずつ変わりつつある。

おりしも、JICPAの監査業務審査会から発行された「監査提言集」が届けられた。昨年7月に出たものの改訂版だが、不正行為と財務報告への影響、これに対して監査人が何をしてきたのか、どこに問題があり改善すべき点は何かを触れた上で、監査手続改善の提言をしている。

「提言」の部分だけざっと読むと、「なるほど」ということよりもむしろ「当たり前」のことがほとんどである。つまり、具体的事例に多く当たって(実学・座学経験の蓄積)、勘(職業的懐疑心)を研ぎ澄まし、一般的方法論(監査基準)を適切に用いることの大切さを諭している。

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