組織再編で重要な欠陥

2009年6月23日 | By 縄田 直治 | Filed in: 内部統制報告書.

E05528:株式会社フリードの内部統制報告書(平成21年3月期)では、決算期末直前に組織再編があり、これにより経理決算体制(承認関係)が整わなかったため、重要な修正仕訳が発生してしまったことを原因として、重要な欠陥があったとしたケースである。
2 【評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項】においては、評価対象としたプロセスや外したプロセスが具体的に記載されている。事例として注目しておかねばならないのは、決算日直前の組織再編で評価が一部できなかったとの記載があることだが、子会社となったことと評価範囲の制約との関係は必ずしも明らかにされていない。

財務報告に係る内部統制の評価の範囲については、会社並びに連結子会社について、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を評価の対象とし、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮し、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ合理的に決定いたしました。なお、連結子会社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲に含めておりません。

また、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、財務報告に対する金額的及び質的重要性の観点から判断し「人事給与業務プロセス」を評価の対象といたしました。なお、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲において「販売管理費・一般管理費確定業務プロセス」「販売管理業務プロセス」および「IT全般統制の一部」は、評価の対象としておりません。当社は、平成21年2月6日より株式会社フォーバルの子会社となった後、組織再編が事業年度末直前に行われたため、当事業年度の取締役会による決算承認までの期間に評価を完了することが困難となり、このことは、やむを得ない事情により財務報告に係る内部統制の一部の対象において、十分な評価手続きが実施できなかった場合に該当すると判断したためであります。

評価範囲の制約と直接関係があるかどうかは読み取れないが、人員の不足による承認が不十分であったということで、決算でエラーが発生し、これを直接的には重要な欠陥の理由としている。

3 【評価結果に関する事項】
 上記の評価の結果、下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、重要な欠陥に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

当社は、経理部において、決算・財務報告プロセスで財務諸表等及び有価証券報告書の作成をしておりますが、適切な開示に必要な会計処理や網羅性の検討及び承認手続の運用が不十分であったため、当期の損益計算書、キャッシュ・フロー計算書及び注記内容について重要な修正を行うことになりました。

事業年度の末日までに是正されなかった理由は、平成21年2月6日に株式会社フォーバルの子会社となった後、事業年度末の直前において組織再編に着手したため、経理部を始めとする当社全体について、財務諸表等及び有価証券報告書の作成に係る経理並びに財務の知識・経験を有した者を当該検討及び承認手続に従事させることができなかったためであります。

親会社も有価証券報告書提出会社であるため、内部統制報告書に子会社の重要な欠陥を親会社としてどのように扱ったのかが興味のあるところだが、本日現在まだEDINETには掲載されていない。

また、有価証券報告書が株主総会の終了後に提出されることが多く、この場合、総会で経営者が交代することがよくあるが、評価時点での経営者と提出時点での経営者とが異なる場合には、あくまでも提出日現在の経営者が内部統制報告書の内容について第一義的責任を負っている。この点については特記事項への記載で対応している点、興味深い事例である。

5 【特記事項】
 当社は、平成21年6月23日開催の第15回定時株主総会およびその後の取締役会をもって、内部統制における責任者である代表取締役社長が異動しておりますため、内部統制の整備・運用およびその評価等すべての引継ぎをおこなっております。

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