内部統制ルール実質緩和・・ほんまかいな?

2007年6月30日 | By 縄田 直治 | Filed in: 財務報告統制.

日経新聞(2007年6月30日14版)によると、金融庁は財務報告統制の経営者による自己評価ルールを緩和するらしい。

具体的には評価範囲を狭めたり、重要な欠陥の範囲を変えるとのこと。

ちょっと変ですね、これは。緩和というなら「監査」のレベルを「レヴュ」にするとか、いっそISOのように「認証」にするなどのはずです。また、「基準」が変わらなければ「緩和」にはなりません。これはマスコミ側の誤った解釈なのではないでしょうか。

内部統制の整備運用方法や評価範囲は、そもそも経営者のリスク判断に基づいて行なうもので、役所が決めるものではありませんね。評価しなくてもよいと決めた範囲で不正が起こったら、それは経営者の責任であるはずですが、評価ルールとしての責任はないが不正そのものへの責任はあるという解釈をするのでしょうか。

そもそも民間企業の経営にここまで行政が介入してもよいのでしょうか。いや、むしろ、そこまで民間企業が求めているというのが実態なのかもしれませんが。

苦笑せざるを得ないのは記事の最後の、「オチ」でした。

「企業が実際に監査する際は会計士が判断し、責任を負ってもらうことで内部統制ルールの骨抜きには歯止めをかける。」

会計士は意見には責任を負うけど、会社の内部統制整備や経営判断には責任は持ちませんよ。経営責任を会計士に押し付けると、監査行動がより保守的になって企業が迷惑している構造が促されますね。尤も、これは記事が誤りであることを祈っていますが。

私的自治の原則は民主主義社会における根本的な原則です。内部統制は企業版私的自治であり、私的自治の範囲や方法について法律が決めるものではないはずです。経営者とそれを選んだ株主に結果責任をきちんと負わせることです。制度はかなり柔軟につくってあります。

本来の当事者がきちんと責任を持たないと、「統制のための統制のための統制・・・」で世の中どんどんおかしくなっていきますね。

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One comment on “内部統制ルール実質緩和・・ほんまかいな?

  1. どうやらこの記事は憶測のようだ。
    関係方面からは、記事に対して否定的な声しか聞こえてこない。

    もともとルールなどが公式に発表されないことはおかしな話だし、発表以前に関係者には照会や検討が入るはずなのに、あまりに唐突だった。

    きちんと実施基準をベースに慎重に対応するという原則は守らねばならない。

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