夢が実現するといえば、そうなるであろうと想定していたものが現実のものになるということを意味するが、会計における「実現」という概念は、会社が利益を獲得するもととなる行為を完遂したこと(つまり企業目的を達成して付加価値を創造したこと)を意味し、「取引が実現した」という言い方をする。
一般に「実現」とは以下の三要件があると言われる。
(1)市場での取引であり、価格を含む取引条件が、取引当事者双方にとって合理性があるという合理的経済人仮設に立つ。
(2)財やサービスの引渡が行なわれ、相手方がそれを認知している。
(3)(2)の反対給付が確定している。つまり現金の授受や債権債務関係の発生がある。
しかしながら、実務界では例えば「含み損のある土地を売却して損失を実現する」というように実に怪しげな使い方がされている。つまり資産負債の価格変動を損益計算に現れるようにする行為という捉え方をされている。
そのような場合、次のような珍妙な会話が監査の現場で聞こえてくる。
「この取引は未引渡ですから実現していないですよ。」
「いいえ、そんなことはありません。きちんと伝票を起こして帳簿に記録されていますから、決算には反映されています。」
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