コーポレートガバナンスが機能していない

2009年6月27日 | By 縄田 直治 | Filed in: 内部統制報告書.

E04577カラカミ観光株式会社の内部統制報告書(平成21年3月期)では、「コーポレートガバナンスが機能していない」ことを重要な欠陥とする内部統制報告書が公表された。

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、重要な欠陥に該当すると判断いたしました。したがって、当連結会計年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

 適正な財務報告を実現するためのコーポレートガバナンスが機能していないという重要な欠陥がありました。具体的には、決算では適正に修正処理されたものの、一部取締役の執行に関して、一部不適切な経理処理が見られるという、財務報告に係る重要な問題が生じました。

 また、決算・財務報告プロセスに係る内部統制では、十分な経理部門に体制を整備することができなかったため、事業所や連結子会社の決算を十分管理できず、事業計画の未整備もあって、減損損失や引当金等の計上について重要な修正を行いました。

 重要な欠陥を是正できなかったのは、会社として、財務報告に係るコンプライアンスを周知徹底できなかったこと及び適正な財務報告への体制整備への取組みが遅れ、経理並びに財務の知識・経験を有した者を従事させることができなかったことによります。

 コーポレートガバナンス機能の是正については、社外取締役の選任、執行役員制度の導入により、コーポレートガバナンスの強化を図るとともに、「コンプライアンス・マニュアル」(私たちの行動規範)を全役職員に配布し、業務管理室の巡回監査の機会等も利用して、適切な財務報告を行うべく周知徹底することで、是正できるものと考えております。

 また、決算・財務報告プロセスについては、空席であった管理本部長、経理部長を置き、財務報告に係る管理体制の強化を図ります。加えて、上場企業の決算・財務報告の実務に精通した人材がいないため、経理課長等の人材の補充、コンサルタントの導入の検討を行います。これらの施策により、重要な欠陥は、是正されるものと考えております。

会計監査人による連結財務諸表に対する意見は無限定適正であるが、追記情報として継続企業の前提に関する重要な不確実性がある旨が入っている。
また、内部統制監査報告書では、「財務報告に係る内部統制は有効でないと表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価について、すべての重要な点において適正に表示しているものと認める」となっているが、以下の追記情報がある。

追記情報

 内部統制報告書に記載されている重要な欠陥のある決算・財務報告プロセスについては全ての重要な会計処理について再検討が行われ、業務プロセス及び決算・財務報告プロセスによって統制されない部分については全ての重要な取引について再検討が行われた。その結果特定された必要な修正はすべて連結財務諸表に反映されており、これによる財務諸表監査への影響はない。

「コーポレートガバナンスが機能していない」といった内部統制の根源的な問題は、監査を遂行する前提条件に大きく影響すると考えられるが、「財務諸表監査への影響はない」としているものの、やはり重要な欠陥が及ぼす全ての重要な会計処理や取引について再検討をした旨が記載されており、リスクアプローチと会社の内部統制の存在を前提とした監査の遂行には相当の影響があったことが読み取れる。

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