ARMの利用
ARMでは、T(threshold)が重要性の閾値として監査人の判断(実際は監査事務所のポリシー)に基づいて設定されますが、ARはそれを大きく下回るべきとされていることから監査実務においては自ずと上限がある定数と考えて良いでしょう。通常、財務諸表に対する影響の度合いとして捉えられるので、
$$\frac{IR}{FS} \times {CR} \times {DR} = \frac{AR}{FS} \ll T$$
\(\frac{IR}{FS} \times CR\)は監査対象組織の取り組みの結果が現れるものですが、監査人には重要な虚偽表示リスク\(RMM\)として理解される与件となります。さらに監査人が虚偽表示による影響のうち実際に発見する割合を\(d\)として表すと、非発見の影響額は\(1-d\)となるので、
$${RMM} \times (1-d) \ll T$$
と表され、監査人は重要な虚偽表示リスクRMMが財務諸表の一定水準より大きく下回るレベルにまで、RMMに応じて発見する割合\(d\)を高めなければならないということがこのモデルにより明らかにされます。