ITがわからない?

2014年12月14日 | By 縄田 直治 | Filed in: 人材育成.

あなたがわからないと言っているITとは何のことでしょうか。まさか「それ」の代名詞itではありませんね。

VPNとかTCP/IPなどのアルファベットで書かれた言葉ですか、クライアント・サーバーシステムとかクラウドとかRAIDとかデータ処理を取り巻く技術のことでしょうか。

まさかそういった技術を用いて処理されている仕組み(システム)とか情報の内容のことではないでしょうね。

確かに技術は日進月歩を超えてDog Yearで進んでいますから、日々めまぐるしく新しい技術や考え方が出てきて言葉が続々と出てきています。しかし実際の企業では、新しいものが出たからといって直ぐにそれが使われることはありません。むしろサービスや業務への影響を踏まえて慎重に様子を見ながら採用されるものです。つまり監査で見ているのは、ある程度は世の中で普及している技術であって、最新であることは稀です。まして監査で見るものは技術ではなく、会社で起こっている事実と、それをとらえたデータとそのデータを加工して作られた業務に関する情報です。

業務に関する情報のうち財務会計の情報が他の業務情報と関わりを持ちながら、どのように事実から作られているのかを見るのが監査というお仕事です。極論すれば情報「技術」の話は一切抜きにしても語ることが出来ます。そこにある「原始データが何からできていて、どのように処理され、結果としての財務諸表にどう反映しているか」というテーマはウオークスルーで把握理解すべき監査本来の基礎的知見であり、監査人の業務の前提です。決算が正しく作られていることを証明するためには、監査人が全ての事実を把握して一つ一つ処理を検討して集計することなど不可能ですから、会社の決算処理の仕組みに依るしかありません。その仕組を実現する個々の技術はさておき、全体としてデータが処理され決算になっていく仕組みはわからなければなりません。クルマのアクセルを踏めばエンジンが動く、ブレーキを踏むと止まるという仕組みを知らねば事故につながりますのでクルマは運転できませんが、VTECエンジンやATSブレーキの技術まで知る必要はありません。

もしこの数字ができる仕組がわからないのであれば、聞いて理解すればいいだけの話です。人に理解させればいいということではありません。数字ができる仕組みを自分で理解しなければ、数字が正しく作られていることに対する心証形成(つまり財務諸表監査)はできません。技術用語に目眩ましを食らってはいけません。必要なのはブラックボックスの中で動いている数字を追いかけることができることです。その方法が難しければ難しいと考える領域に強い人に聞くなり教わるなりすればいいだけの話です。自分が理解すること自体を躊躇したり、ほんの少しの教わる努力を厭うのであれば、監査という業務から逃避したことになりませんか。

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