bitcoin

2014年3月2日 | By 縄田 直治 | Filed in: 会計とIT.

インタネット上の仮想通貨であるビットコインを取り扱う日本の運営業者マウントゴックスMtGOXが民事再生法を適用したというニュースが先月末(先週末でもある)に報じられた。

ビットコインは、一般に使われているような、商品の交換手段となる取引ポイントや通貨に代わる決済手段となる電子マネーとは全く異なっており、その正体がよくわからない。
ホームページを見ると、

ビットコインはP2P(ピアツーピア)ベースの仮想通貨。P2Pであるため銀行などの中央権力による貨幣の発行および取引の追跡が行われません。これらの作業全般はネットワークにより管理されます。

とある。
どうやら、最たる特徴は、価値の保存、流通、交換、手段としての貨幣の特徴は有しているが、いわゆる中央銀行発行通貨(日銀券など)との交換が保障されているものではなく、それ自体が貨幣として流通し中央銀行発行通貨との交換レートがあるらしい。いうなれば、それ自体が信用を増せば為替レートのように価値は上がり、逆に信用を失墜すれば、価値はなくなってしまうという代物だ。

インタネットを使って国際間決済も可能なので、海外との資金授受が銀行を通すよりも安く速くできるというのもユーザから見たメリットとなっている。

では、商取引などでビットコインが入手できるとして、そもそも「お札」に相当するビットコインは誰が発行するのかという疑問が湧いてくる。

これは、マイニングと呼ばれる行為の対価として払われる手数料が新たなビットコインの発行に繋がるようだ。ビットコインの取引はブロックチェーンと呼ばれる取引履歴情報によって裏付けられており、新しい取引が発生する都度、ブロックチェーンに新しい情報が書き加えられていき、その情報の信用力を更新していく仕組みのようだ(実際はどうなっているのかよく理解できないが、ここはコアな仕組みのようだ)。

システム面から見た時の面白さは銀行の勘定系とビットコインとを比較するとよく分かる。
銀行の勘定系は、口座ごとに勘定系システムに記録されている数字自体が貨幣との交換可能な単位をあらわすものなので、同じものが2つあってはならないし、また失われることもあってはならないという使命を持つ。しかし、ビットコインの場合には、コインの取引記録行為は沢山の人により行われるので、同じ情報は複数存在することが前提となっており、これが改竄や喪失を防止する仕組みになっているらしい。さらに、仕組み自体はオープンソースとなっており誰でも見ることができる。これが信用の裏付けになっているとも言える。

最もイノベーティブなところは、国家的な規制を受けないまま信用を確保できる可能性があるということだ。つまり、ITを用いてアルゴリズムを処理を通して相互に監視しながら信用を確保し続けていくというところが、ネットワーク通貨らしい特色だろう。相互監視による信頼性の確保は、eBayなどのネット取引でも用いられている方法である。瞬間的に悪行を通じて一儲けしようとする人には通用しないかもしれないが、いずれは排除されるということなのだろうか。
中央銀行券はその発行体の意思に関わらず政府が財政破綻すれば通貨としての信用力を失い一気に価値が下落する可能性があるが、これは、歴史的にも大戦中のドイツや、80年台の中南米諸国で見られたインフレ、あるいは財政危機となったギリシャが典型的な例だろう。

ビットコインの究極は、その運営会社がなくなったとしてもビットコイン自体はなくならないというところにある。
つまり、コインを保存するwalletは参加者がそれぞれ持っているものなので、どこかの市場と繋がることができればそのコインを使うことは可能なのだ。お金は「金」などの価値あると考えられるものが交換手段として機能していたものが、政府が流通を保障する形で紙幣というものに置き換わり、信用が付与されることで銀行取引を通じてマネーサプライ以上のお金が取引されるようになった。人々がその仕組を作り守っていこうという努力を続ければ信用は維持されるものなので、まさにその信用創造の仕組みをITによって実現した面白いビジネスモデルなのだ。

今回の事件は、コインへの不正アクセス等があったということだが、それ以外にも会社のお金(こちらは日本銀行券の裏付けのあるもの)がなくなっているというので、会社自体の経営の問題と、ビットコインの信用力の問題とは切り離して検討し、運営会社の経営がビットコイン自体に悪影響を及ぼさない仕組みをまた考案するきっかけとなれば、まったく新しい市場の仕組みができる期待がある。事実、MtGOXが閉鎖された後もビットコイン自体は世界で流通はしている。気になるのは、ハッカーによって持ち去られたとされる数十億円分のビットコインの行方だが、コインの創出原理がよくわからないので、ハッカーが持ち去ったものがどうなるのかもよくわからないので、ここは後日の課題としよう。

他に触れたい話題として、預金保護の仕組みがあるが、まだよく理解できていないので、後日に触れたい。

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