監査手続と情報技術

2009年12月6日 | By 縄田 直治 | Filed in: 監査手続.

職場からブラックベリーを貸与されて四半期が経過した。始めの頃はなれないせいか電車内で気持ち悪くなったりしたが漸く道具の一部として定着してきた。
大雑把に言えば監査の現場にPCが使われ始めたのが20年ほど前で、それも本の一部のマニアが使うに過ぎなかった。
10年ほど前に全員が標準として所有するようになりネットワークでメールやファイルサーバが使えるようになった。これは携帯電話の普及と相俟って監査におけるコミュニケーションや情報共有の方法や質を大きく変えてしまった。
これからの10年はおそらく監査手続における情報技術の活用が進むだろう、いや進まねばならない。なぜなら税法が帳簿の電子保存を容認するようになってから一気に会計データのブラックボックス化が進んでいるからである。会社では入力されたデータはとりあえず正規のデータとして扱われているが、その生成源となっている取引証拠も電子化されていると、検証が大変難しくなってくる。
監査環境の激変に応じ、心証形成のための監査証拠という原点に立ち返り、それを如何に効率的効果的に入手するかを真剣に考えなければ、公認会計士という専門家は不要とされる時代になり、情報技術の専門家が手続実施の中心になるかもしれない。医療の世界でも検査機関は専門化してきており医者はそれなしではもはや医療行為さえ行えなくなってきているが、一方で内視鏡手術など新たな分野が開拓されてきている。
少なくともビジネスの理解に基づく活動の会計値への影響と、不正誤謬リスクの所在がわかり、どういう手続が必要になるかまた効果と効率のトレードオフが判断できなければ、公認会計士無用論は現実味を帯びてくる。

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