内部統制とIFRS

2009年6月27日 | By 縄田 直治 | Filed in: 制度会計.

株主総会のピークも過ぎ、各社の有価証券報告書と内部統制報告書が一斉に提出されている。なかでも、内部統制報告書は初年度ということもあって、いろいろな意味で注目されている。

内部統制報告書で「重要な欠陥」として開示されているものの中に、在外子会社の会計処理のエラーや不正に起因する事象が何件があがっている。在外子会社のモニタリングはグローバルに活動する日本企業にとっては力加減の悩ましい問題である。

IFRSの導入によって一つ大きな改善が期待されるのが、会計制度が統一されることによる必要人材の共通化という点である。

従来であれば、日本の会計実務に精通した人が現地法人に行って管理業務をすることが、現地における管理や経理の対応がスムーズにでき、かつまた本社との連絡も旨くいくという期待があり、日本企業は多くの海外駐在員を派遣してきた。しかし、会計基準が統一されれば、少なくとも会計に関する一定の知見があれば、国を問わず同一の対応ができることになるため、より現地での雇用ができる環境が整うとともに、本社と現地法人との「日本ではこうなんだ・・・・」という説明作業や、現地が日本基準向けに行っている(おそらく現地には何の役にも立たない)作業がなくなってくるだろう。

IFRSによって現地化できる部分があるとすれば、逆に本社はグローバル連結会計基準などを策定して、より強い力を持ってモニタリングすることも必要になってくる。常に遠心力と求心力とのバランスを考えておかねばならないが、IFRS導入が2015年頃になりそうだと言われていることから、グローバル企業はそういった発想での準備をも進めていく必要が出てくるのではないだろうか。

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