内部統制評価制度が問う経理部門の役割

2007年7月14日 | By 縄田 直治 | Filed in: 組織力.

内部統制プロジェクトを推進する上で必ずぶつかるのが、IT部門と経理部門との間にある厚い壁である。

日頃から、経理部門は「うちのシステムは古くて使いにくい」といい、IT部門は「経理は仕様もろくに出せないし業務で何が行なわれているかも知らないやつらが・・」という状況だが、平常業務がスムーズに流れているときには問題にならないこういった壁が、なにかをやろうとすると表面化することになる。

ここ数年の会計・開示制度をめぐる変化はめまぐるしいものがあるが、多くの経理部門は「IT化による人員削減」の余波(実際は楽にはなっていない)を食っており、制度の変化についていくのがやっとのことで、業務レベルにまで落とし込んで考える余裕を失っている。

JSOXが始まることで、いざ業務の整理をしようとすると経理部門は現場で何が起こっているか全く知らないことに気付く。現場はただ指示されたとおりに画面からデータを入力すればよいことになっている。だれも自分たちの仕事が開示にどう絡んでいるかを知らない。

そういった状況で、データを現場部門から経理部門へ橋渡ししているのがIT部門である。つまり経理業務は見積・判断の要素が殊更強くなってきたため、ルーチン業務の役割分担は、いつの間にかIT部門に移ってきているのである。

このような現実を冷静に見つめれば、「情報システム部」という組織と「経理部」という組織の存在意義をそれぞれの立場から見直すきっかけになるだろう。そこには、開示制度や経理管理目的に必要なデータは何かを判断する組織と、それをどうやって日常業務のなかからデータとして拾い上げていくかを考える組織、されにそれをシステム化する組織という3層構造にならざるを得ない。両者の間にあるのが「プロセス部門」ということになるが、その役割が明確になればなるほど、旧来の経理部と情報システム部は、存在意義が薄れていくことに気がつくであろう。

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