公認会計士という資格名称の意味

2007年3月20日 | By 縄田 直治 | Filed in: 監査と監査人.

公認会計士とは大東亜戦争後に証券取引法が制定された際に、旧計理士の資格を転用する形で作られた資格だ。

証券取引法が米国の証券取引法を参考に制定されたことから、公認会計士制度も同様に米国の制度を真似された作られたものだが、元々の英語はCertified Public Accountant (略称はCPA。公認された公共の会計人。)である。英国の制度を真似ていれば、Chartered Accountant(国王陛下によって勅許された会計人)となっていたかもしれないが、日本では、畏れ多くも天皇陛下より賜る資格など想像もつかないのだが。

ところで、CPAが「公認公共会計人」ではなく「公認会計士」と訳されたのは何故か君は知っているか・・・という問いかけを、私が会計学で師事していたゼミの先生から尋ねられたことがある。それは私が会計士試験を受験して合格を報告した時であったので、 20年経過した今もかなり鮮明な記憶として残っている。

先生曰く、「士」とは「侍」の意味である。侍とは常に「公共の利益」に適う仕事をすることが期待されている。「士業」と言われる、弁護士、会計士など「士」がつく職業は、単に一個人の利益を追求するような仕事をしてはならない・・・ということであった。
当時学生だった私はこの話を聞いて随分身の引き締まる思いをしたが、今でも時折この話を思い出しては、後輩たちにも伝えている。

また、公認会計士は「高度な人格を備え・・・」というくだりもどこかにあった。つまり「高度な人格」が公認会計士の資格要件だったのである。

高度な人格とは何か説明してみよと言われると困ってしまう。答えは各人各様だろうが、プロフェッショナルとして当然に期待されるべき自己研鑽と行動をしていくことであると解釈している。「規準は自分で定めなさい、判断は他人に任せなさい」ということだろう。因みに私が就職したときの監査法人のリクルートのキャッチフレーズは「Be a true professional(真のプロになれ)」であった。何となく響きのいい言葉であるがその含意は重いものがある。これについても、自分なりにアレンジして後輩たちに伝えている。目指すならば、「one of those professionalsではなく、Be the true professional (吾こそ真のプロなり)」を目指せと。

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