企業観・会社観

2007年3月17日 | By 縄田 直治 | Filed in: 会計原理.

「会社とは何か」という問いかけは、実に奥が深いものであり、当然にその答えは様々だ。
働く場所、生活の糧を得る場所、株主の権利の寄せ集め、目的を持った人間の集団、ルールによって人が動く機能組織、法人登記された団体、経営資源を投入してある価値を産出するプロセス・・・・などなど。
この企業観の違いがいろいろな議論をする際に大きな違いとなって現れる。典型的なのが、「株主集合体」vs.「人間の働く場所」という対立項だ。M&A、リストラなどの話が出ると必ず「資本の論理で社員を粗末に扱ってよいのか」という議論になる。

そもそも、会社とは何だろうか。数万円の現金を用意して法人登記をすれば、「会社は存在」したことになるのだが。私は以下のように考える。

(1)人が生きる上で解決しなければならない事象・状況(課題)がある。それは一人では解決できない。

(2)問題意識を持った(認知した)人と、これを解決する方法(知恵)をもった人と、これを解決する作用力を持った人が集合し、知(方法論)と力(世界への作用)を共有することで単なる個人の足し算以上のものを生み出す関係が求められる。

(3)これがある程度の規模になると、その関係を整理する、あるいは新たな関係を生み出すという新たな課題が生まれ、またその課題を解決する方法と作用力を持った人が集合する。

(4)ある関係が成立すると、その関係を中断するより維持するほうがよいのではないかという新たな課題が生まれる。

(5)維持する仕組として生まれたのが会社。

ところが、いったん出来上がった会社は、解決課題の有無にかかわらず、会社として存続することが要請される。強い組織とは自己の存在意義を絶えず問い続けて自己革新を図ることができる組織という。これは組織は永続しなければならないという命題を与件とした議論である。本来は会社組織は目的の遂行が終わったら解散してもよいはずである(プロジェクトチームのように)。

企業会計の世界では「継続企業の公準」というものがあり、会社は永続することを前提に会計理論は構築されている。会社は存続しなければならないというパラダイムに基づいた公準であるが、そもそも組織の存続を是とする理由はどこにあるのか、釈然としていないところである。

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