統制目的については各章に何度も出てくるが、順序にも意義がありそうである。
但し、財務報告統制を意図しているにもかかわらず、財務報告統制から見た場合の統制手段が統制目的として整理されているところは注意すべき。すなわち、承認、責任分掌、資産の保全は、適正な財務報告という統制目的からすれば、手段として位置づけられるため、統制目的そのものではなく、統制手続ないしは、統制環境の一部として位置づけられると自分では考えている。
1:統制の目的 Control Objectives
- 承認 :取引が経営者により適切に承認される
- 正確 :取引が的確に計算される
- 網羅(完全) :有効な全ての取引が記録される
- 実在 :記録された取引は実際に発生しており重複なく(ただ一度だけ)記録される
- 評価 :適切な測定と認識の原則が適用される
- 分類 :取引は的確に分類される
- 適時/期間帰属 :取引は正しい(報告)期間に記録される
- 責任分掌 :取引の承認と取引の記録と、資産の維持管理との間で適切に権限が分掌されている
- 資産の保全 :資産が、盗難、損傷、非承認者による接触や使用から守られている。記録の保持を含んだ概念。
統制目的は、主要な業務上の目的(business objective)の達成を可能ならしむ、すなわち、
- 全てのプロセスは、効率的かつ効果的な方法により、所要の結果を継続的にもたらすことを確保すべく管理される
- 統制目的は必要な統制を理解するのに役立つ
一方、上記に対し、著者は第四章で、「適切な開示」を新たに加えている。また、
上記の一般的な統制目的に対し、監査対象となる組織の実情(プロセス、活動、サイクル、勘定)に合わせてカスタマイズすべきとしている。
※業務上の目的 Business Objectives:
(例)経理部門:経営及び制度の要求を統合した正確な財務情報を、効率的効果的かつ適時に提供する
2:カスタマイズ(収益管理サイクルの例示)
一般的な統制目的: 取引が管理基準に従い適切に承認される。
カスタマイズしたもの: 顧客へのサービス提供は、与信管理基準に従い承認される。
3:文書化
業務プロセスを文書化する唯一の目的=プロセスに内在し、統制目的達成を確保するのに依拠するコントロールを識別すること。重要なプロセスのみリストすればよい。
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