統計検定受験顛末

2022年5月26日 | By 縄田 直治 | Filed in: データの利活用, 統計.

統計の勉強を始めたのはかれこれ10年前に遡りますが、監査法人退職後も統計の勉強は継続しています。

ご報告が遅れましたが、この度、統計検定二級を受験して(なんとかギリギリで)合格できました。受験に関する諸々を残しておく意味で、ここに書いておきます。

受験の動機

勉強と言ってもこれまではそのへんにある本を流し読みする程度で、レベル感はまちまち。当然に数式などはまったく読めないため、飛ばし読みしていました。トピック的な知識やハウツーは入ってきますが、データを使ったスキルとしての知識は会得できません。

そこで自分がどの程度の理解をしているのかを客観的に測ることと、統計の知識を体系的に学ぶ必要を感じるようになり、一つのマイルストーンとして統計検定を選んだ次第です。

勉強の方法

機械学習とかモデリングの本はこれまでも色々と読んでいますが、そもそも知識がないので基本的なところから勉強をはじめました。

使った書物は次のようなものです

  • 改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 「統計学基礎」
  • 日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集 [2018~2021年]
  • 日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集 [2017~2019年]
  • 統計学入門 東京大学教養学部統計学教室

WEBの教材もかなり役に立ちました

勉強仲間に訊ねるのは励みになります

分からないことがあったら自分より(工学系の)知識のある人に教わりました。特に数式の展開などで教科書では説明が省略されている部分や、なぜそういう運算ができるのかなどは、一度知識の暗闇にハマってしまうとなかなか抜け出せません。仕事で忙しい中に丁寧に教えていただいたことには感謝しています。教わることが理解の促進に役立ったことに加え、とても勉強の励みにもなりました。

勉強の流れ

最初に「統計学基礎」をザラッと読み公式問題集の直近2年分を解いてみて、検定試験のレベル感や解答方法のイメージを掴みます。この段階で、記述統計はある程度、前提知識があることがわかりました。むしろ得点源として満点を目指すべきです。一方、基本統計量の公式とか推測統計の確率分布などには本を読んでわかった気になっても実際の問題を解くとなるとまったく歯が立たないことがわかりました。

そこで、正攻法の勉強と検定対策を両建てで取り組みました。

正攻法の勉強は、教科書を読みながら理解を深めていくことですが、もともと苦手意識があるのであまり効果はありませんでした。むしろ東京大学のOCWがRを使った統計の問題の解き方を教えていたので、検定にはあまり関係ないもののもとからRはよく使っていたので、親しみがあったことから、理解の促進になったと思います。但し正攻法は知識にはなりますが、統計検定は一定の統計的課題の解き方(お作法のようなもの)を知っていないと太刀打ちできないことから、その対策が必要です。

検定対策とは、過去問を解いていき弱点を見つけていくことです。解き方そのものが弱点でした。結果的には3〜4回解いています。ここで大事なことは、何度も間違える問題は、「あえて捨てる」ことです。これはあらゆる試験対策に重要です。いわば解けない問題を知っていれば本番で出てきても時間を食われることなく捨てることができます。検定は合格点を採ればよく満点を取る必要はありません。

検定問題集は解説がついているので、その解説をよく読んでもわからないときには、WEBの教材を使って理解します。WEBを作る人によって説明の方法が違うので、自分にあった理解のしかたを見つけるといいでしょう。とけたろうさんのサイトは検定の傾向を見ながら解説していたので、あえて検定に出ないと考えられることはバッサリと切ってあったのが、効率よく勉強する上では役に立ちました。また統計WEBは過去問の解説がわりと丁寧にしてあったので、問題集の解答で足らない場合には参照しました。

結果的には、受験を思い立ってから丸々3ヶ月後に受験したことになります。

受験の方法

検定は試験機関をWEBで探して日付を試験科目を指定して申し込みます。自分のスケジュールとにらめっこして、月曜日午前が空いているところを狙いました。休日明けで一番リラックスしているというのが理由です。試験日は毎日ではなく、しかも試験機関でも異なっているので、目標を設定する意味でも早いうちに目処をつけて申込をしておいたほうが良いでしょう。

検定はCBTといわれる、会場にあるパソコン上に表示された問題を解いて解答を入力する方法で行われます。試験会場で計算用紙とボールペンは配布されます。それ以外の持ち込みできるものは、電卓(普及型の事務用電卓)と眼鏡(老眼には必須)くらいです。画面は一定倍率で拡大できますが、拡大すると下が切れることがありました(スクロールはできます)。

顛末

結果的には時間切れで最後の3問は、問題も読まずに解答を入力するだけになりました。試験開始から画面に残り時間が秒単位で表示されているので、時計は不要ですが、時間が来ると容赦なく画面が切り替わってしまいます。アンケートに答えたら合否が表示されますが、なかば諦めていたところに、「合格」の文字が見えたので久しぶりに脳内にアドレナリンが吹き出ました。得点を見ると、合格ライン60点に対して63点でしたので、ギリギリセーフです。

合格通知はその場で係員の人が印刷したものを渡してくれます。その後、一月くらいすると検定の主催団体から正式な合格証明書(しっかりとした厚紙)が送付されてきます。

総括

今回受験してよくわかったのはやはり基礎知識をおろそかにしてはならないということでした。それに加えて、演習問題など「体感」して学習することの大切さを改めて認識しました。いくら統計ソフトが問題を解いてくれるからと言っても、それを理解して使うのと、ただ出力をテンプレートのように使うのとでは、やはり実務の上では違いが出てくるのでは。そもそもそのソフトを使って解くこと自体が正しい方法なのかさえあやふやでは、実務では使いようがありません。一方で、そういうレポートが出てくるときに批判的に見る力も必要です。

統計検定には準一級、一級とまだまだ上のレベルがありますが、問題を少し見ただけでとても歯が立たないことがわかりました。一方で二級のレベルでもかなりのことはできるという実感もあり、今後は実務で上のレベルのことに挑戦していきながら、勉強を深めていくことにしました。

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