東京都4回めの緊急事態宣言

2021年7月9日 | By 縄田 直治 | Filed in: データの利活用.

東京五輪を目前に控えた東京都は、きょう緊急事態宣言が発令され12日から飲食店でのアルコールの提供ができなくなります。飲食店には協力金が出ますが、そこに卸している食材や飲料などを卸している業者には何も支援はありません。そもそもお酒が悪いのではなく、換気の悪い環境に人間が長時間こもるのが感染リスクを上げているわけですから、換気の良い場所(いまは路上や公園でも禁止されていますが)なら安全です。たとえば、屋上ビアガーデンなどは風が通り抜けますし、ラーメン店なども強制的に換気しないと夏は暑くて客が入ってくれません。むしろ締め切った静かな病院や、気密性の高いカラオケ店などは危険でしょう。

そういうことをどのように考慮したのかも明らかにせず、一方的に酒を禁止するのは、どういうことなのかよくわかりませんね。医師会とか感染学者は本来のところでもっと活躍して欲しいところですね。もともとこちらも領域は違いますが専門家の端くれですので、専門分野においては専門家であってもそうでない分野では一般市民という感覚はあります。

6月に宣言が解除された頃は、すでに陽性者数(いまだに感染者と報道されていますが)は増加傾向に転じていました。

但し、重症化リスクの高い60代以降のところはとても落ち着いていて、陽性者・発症者の中心は相変わらず勤労世代です。これはワクチンの接種が進んだ効果と見るべきかどうかはわかりませんが、職域接種も進みつつあるようなので安心材料の一つです。ただ気になるのは、高齢者の接種は目標の300万人に対して200万人を超えたあたりで既にピークを過ぎてしまい、最近は2回めの人のほうが多くなっていることです。自力では動けない人たちは施設での集団感染が心配ですが、こういう人たちに集団接種をするのはそれほど難しいこととは思えません。

今の時期の特徴として言及すべきは、重症者が50代で目立って増えていることです。これは変異株の影響という声も聞かれますが、高齢者でもなく若くもない(わたしのような)50代の重症者だけが増えるのは、何か社会的ファクターと絡めて考えるべきなのでしょう。50代の陽性者が目立って増えているというわけではないので、重症化リスクは高齢者ほど高いという関数と、移動や人との接触は若い人ほど多いという関数を掛け算した結果なのかもしれませんが。

ひとつ考慮に入れて考えるべきなのは、重症者の性別の違いです。男性の重症者数が圧倒的に多いのはグラフを見れば分かります。但し、気をつけるべきなのは人の数ではなく入院者の数なので延べ日数である点です。つまり重症に至った男女の数が同数であっても、男性が女性よりも2倍の入院日数であれば、重症者数は男性が多くなるということです。もともとの重症になった人であっても入院日数であったとしても、男性の方が多いのは、やはり社会的な要因のほうが大きいのではないかと推量しています。

病院のキャパシティは1月の感染が爆発したときがピークと考えればいいでしょうけど、実際その頃は自宅療養と「調整中」で凌げていたので、宿泊と入院の数は1月も5月も実はあまり違いはありません。つまり入院を要しない人が多少ブレたところで大きな影響はないということです。

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