毎朝、眼が覚めたらラジオを聴いています。NHKの「マイあさ」という番組で再放送ですが、スポーツ心理学の荒木香織氏がコロナ禍で準備してきた試合などに出られないスポーツ選手などの心理状態について話されていました。あの、ラグビーの五郎丸選手などにもアドバイスされた方です。
いわゆる困難にぶつかったときの精神的重圧への対処についてスポーツ選手に限らないとてもいい話だったので、記憶を頼りに記録しておきます。
スポーツ選手は、スランプがあったり大試合で負けたり、色々な意味でのプレッシャがあります。その時の反応は共通点があって、
- 現実否定(こんなことあるはずがない)
- 悲しみ(どうしてこんなことになってしまったんだろう)
- 怒り(なんのためにこれまでやってきたんだ)
- 行動の正当化(これまでのやり方でいいのだ)
概ね上のサイクルをぐるぐると行ったり来たりすることで心理的に不安定になるということです。いわば為すすべがないときに冷静さを失って、「なにかをしなければ」という焦った気持ちが自分の心理をコントロールできない状況をよく表していますね。コンピュータがプログラムの不具合でCPUの負荷が最高に達して熱暴走する状況として例えても良いでしょう。
荒木さんは、こういう状況においては「まず現実を受け入れる」ことがとても大事であると言われてました。そういう現実(自分が弱いことなど)を受け入れた上でチャレンジしていくのがスポーツの本質だと言います。そして、いまの沈んだ状態は、チャレンジして先に向かっていくための準備期間だと捉えようと提案されています。
これはビジネスでも言えることです。また自分自身でも経験がありますが、上のような思考の無限ループに入ってしまうと、(入ってしまうからこそ)脱出できないで、体力だけを消耗してしまい精神的にマイッてしまう悪循環です。
そういうときに一番大事なことは、自分だけで考えないことです。解決のための手段を教わることはあまりないでしょう。でも、むしろその前段階で、自分の状態に気がつくことが最も難しいところなので、思考の無限ループから脱出するための強制的なEXITコマンドを発してくれる人がいれば、渡りに船です。
我々専門家の仕事は、答えが難しい問題や前代未聞の問題にぶつかることもありえますが、自分で答えを出すのが仕事でもあります。でもその重圧で答えを出す思考力が落ちていてば元も子もありませんので、周囲にいる人には直截的なアドバイスよりも自分が置かれている状態を冷静に意見してくれる人が一番ありがたいのです。
スポーツのように成績など外観で状況がわかることでもないので、端的には、「嗚呼、辛いよう!」と周りに分かるように叫ぶことが必要なのでしょうね。