組織における倫理的意思決定の盲点

2015年12月6日 | By 縄田 直治 | Filed in: 監査と監査人.

如水会会報No.1018(Dec2015)に一橋大学大学院法学研究科村岡啓一特任教授による標題の小論が掲載されている。
一橋大学開放講座として開かれた講演の抄録であり、副題に「職業倫理と人間道徳の狭間」とある。

職業専門家は専門家としてのそれぞれの倫理的行動が求められるのは言うまでもないが、本稿は職業倫理と人間道徳とが衝突する場面における、組織体における倫理的意思決定の「盲点」がテーマである。

自らを権威者の「代行者」とみなす者は結果についても権威者に責任転嫁するが、これがサイロメンタリティを招き個人の倫理的意思決定を不可能にする。さらにその結果として組織体としての倫理的意思決定も不可能になるという。

結論は、倫理的な意思決定を個人としてなしうることの重要さを個人が認識することである。専門家は組織において組織の権威者と対話することが必要であり、本稿は職業専門家としての経営者を意図して記載されているが、公認会計士にも当てはまることだろう。

唯一の正解がないところでベターな解を探す努力が必要なので、禁止規範の教育ではなく専門家の持つ裁量を活かした最適解を見出す教育が必要だとしている。

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