ここ最近、立て続けにCAAT関連本が出版されている。原点には企業活動のIT化によるデータの不可視性の問題があるが、もう一つの背景としては内部統制報告制度が出来て7年位経過したが、導入趣旨にかかわらず相変わらず不正会計などの企業不祥事が続くことにある。内部統制に関連する制度の弱点や限界が露呈してしまい、ガバナンス強化の方に世間の興味がシフトした結果、いわゆる内部監査部門がその存在意義を意識し始めているところが大きいのではないか。
本書はそういった内部監査部門向けにCAATの効用を丁寧に解説した内容となっている。
CAATは監査技法でありそれ自体が監査手続にはなりえないが、経営管理上の有用なデータの作成なども可能(こちらはEUCの発展)なので、上手く活用できれば内部監査部門にとっては有力なツールとなり得る。換言すれば、単にデータの処理方法を覚えるだけではなく、経営改善のための方法の一つとして戦略的に導入することを検討しなければ、数字遊びに終わってしまうことになりかねない。
単なるCAAT礼賛ではなく功罪含めてさらっと記載されており、CAAT初学者が全体像をつかむには、程よい内容である。
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