財務報告事項における虚偽記載の整理

2007年10月27日 | By 縄田 直治 | Filed in: リスクの分析と評価.

「財務報告に係るリスク」を抽出するスタートポイントは、「財務報告」される項目(勘定科目や注記事項ないしはその他の開示項目)の棚卸作業からはじめて、各項目の数字の誤りや記載漏れ、架空記載などの事象を類型的に整理すればよいことになる。
経営者のアサーション(主張ともいう。監査人から見れば監査要点)は、網羅性、実在性、金額・評価の正確性、期間帰属、権利義務の帰属、開示という6項目がただ羅列されているだけだが、決算に関係する3つの段階に分けて考えれば、分かりにくいアサーションも整理しやすい。
たとえば下表を参考にされたい。
主に1は財務報告プロセスにおいて、2は決算プロセスにおいて、3は業務処理において発生しやすい事象(リスク要因)となっている。何よりも大事なものは、網羅性である。全ての重要な事象を把握できていないところに、実在とか金額が正確とか言っても仕方がないのである。だから内部統制とは何かと問われたら、経営者が「私は知らなかった」と言えないようにするためのシステムであると言える。

  網羅 実在 金額妥当 期間帰属 権利義務 開示 記録
1.開示項目レベル(財務諸表及び関連情報)              
(1)開示項目が漏れている x         x  
(2)開示項目が明瞭でない           x  
(3)開示項目が実在しない   x       x  
(4)開示金額が過大ないし過小である     x     x  
2.経営判断レベル              
(1)判断が記録されていない             x
(2)判断対象が網羅的でない x            
(3)判断対象が実在しない   x          
(4)判断が存在しない     x        
(5)判断が不明瞭である     x        
3.取引レベル              
(1)取引が計上漏れである x     x x   x
(2)取引が架空(ないし二重)計上されている   x          
(3)金額が誤っている     x x      
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