XBRL Symposium

2011年3月6日 | By 縄田 直治 | Filed in: 開示制度.

2011年3月3日東京証券取引所にて第13回XBRLシンポジウムが開催された。

XBRLが使われるようになって立ち上がりにはどのように展開するのだろうという疑問を持っていたが、今回はいろいろと「新展開」を感じさせるスピーチが多かった。

キーノートでIFRS財団の副議長である藤沼亜起氏は、IFRSの日本における展開において「IFRSの導入は、覚える会計から考える会計への展開が進む」と話された。それ自体、XBRLとは何の関係もないが、比較可能性を重視するIFRSと画一的にデータを取り扱うコンピュータとは相性がよいはずで、そこでのXBRLはグローバルな財務データの比較を容易にさせる時代が近づいていることを匂わせる。

金融庁からは次世代EDINET(平成25年度リリース)開発の話があった。いまは有価証券報告書や届出書などの継続開示書類の財務四表に限定されているXBRLの活用範囲を、適用開示書類の範囲を広げつつ、注記数値だけではなく定性的財務情報や分析などの項目についてもXBRLを導入するという。訂正情報にXBRLとはやや違和感を覚えるが、おそらく意味するところは必要項目をタグ付けして一つの情報単位として扱えるようにするということなのだろう。

午後は日銀が提出を受ける財務書類についてXBRLを活用することが紹介されていた。これはいわば当然のことで驚きはしないが、普及期に入っているなど言うことを感じさせた。

パネルでは中国、インド、イラン、アメリカ、日本でのXBRLの利用実態が報告された。イランは戦争でインフラが破壊されたので、その整備を急ぐためにXBRLを最初から導入して行ったようだ。日本は東証のTDNETと金融庁のEDINETとのダブル提出だが、TDNETの情報を軽くしたりそのままEDINETでも使えるようにタクソノミをあわせたりする工夫などには、各国が興味を抱いていた。

今回新たな試みとして、「アカデミックコンペティション」というセッションがあった。これは特に大学に限らずXBRLの利用を促進する施策について提案されたものから、優秀作品2点について表彰するというものだった。最優秀賞は慶應大学の学生3人が開発した「XBRL API」で、あの使いにくいEDINETのXBRLデータを入手するAPIを開発してデータの取り扱いを容易にするという企画だった。まえまえから必要だと思っていたが、学生の中からこういった企画が出てくることは、技術的裾野が広がることを意味しており、好ましい展開である。

優秀賞は「独立学校法人の財務諸表のXBRLタクソノミ開発」だった。XBRLは何もEDINETに限ったものではなく、学校法人や建設業など、特定官庁に提出する財務書類の様式として提出側も受理側も扱いが非常に楽になるものなので、当然使われてしかるべきものだ。特に許認可業種や特殊法人などは定期的に官庁に財務報告をしているのだから、国家インフラとしてこれを用意し、さらにそういった業種ではそれに見合った会計パッケージが用意されていることが多いので、そこにXBRL作成機能をつければ、提出側の事務負担はかなり軽くなる。それ以上に行政コストの削減ができる意義は大きい。

今回のシンポは、IFRSが導入されると同時にXBRLが爆発的に利用される可能性を感じた。さて問題は、監査人がこれにどう対応していくか、まったく見えてこないところなのだが・・・・。

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2 comments on “XBRL Symposium

  1. より:

    初めて書き込みさせて頂きます、ITAのものです。
    定性情報へのXBRL活用ですが、たしか数年前にうちで早稲田大学のXBRLワークショップを開催したときに、ジャストシステムの方が解説していて、非常に興味を持って聞きました。
    ジャストシステムだと、日本語解析という観点から定性情報への活用という方向に進んだみたいですね。
    そのときに思ったことは、「事業等のリスク」の記載について同業他社分析を行うことで、経営者の意識などを読み取り、監査計画に役立てられるのではないか、ということです。
    ちなみに、私の卒論はトヨタと日産の20年分の有報情報を集めてきて財務分析等をおこなうというものでしたが、そのときにも、「事業等のリスク」部分をあわせて読み込むことで、両社の問題意識の比較も行ったものでした。

    もっと監査におけるシステムの高度活用が進めば、データマイニングとテキストマイニングの結果比較から虚偽記載を発見できるようになっていけるのではないかと思っています
    そういう方向に少しでも持って行けるようにがんばります。。。

  2. 縄田 直治 より:

    紫さん

    駄文を読んでの書き込みありがとうございます。
    JUST SYSTEMは昔から漢字を扱うのが得意ですからConcept Searchという日本語環境における検索思想を持っていますよね。
    Googleばかりの検索の世の中で、日本語の検索を真剣に考えてくれる会社がもっとあってもよいのにと思います(知らないだけか・・・)。

    全ての数字分析に言えることですが、数字だけでは何の意味もありません。
    たとえば、42度という温度は、お風呂には適温か少し熱いくらいですが、体温からすると大変なことです。財務情報となるとなおさらで、現金が100億円あるということがどういう意味を持つのか、それを経営者、投資家、、債権者など色々な立場から議論するものがテキスト情報です。したがってテキストとXBRLタグデータとの有機的結合はとても重要なはずです。

    まったく別の議論ですが、XBRLの普及はマイクロファイナンスへの道も開けてくるはずです。そこには必ず数値の保証という課題が伴いますが、いずれ克服されるでしょう。むしろ、上場していなければ実質的には債務性の資金以外は調達できないという状況が解決されていくはずです。
    ムハマド・ユヌスの例を持ち出すまでもなく、世間の信頼は必ずしも監査制度がなくても成立しているということです。

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