マーフィの法則

2007年7月7日 | By 縄田 直治 | Filed in: リスク対応と統制手続.

「傘を用意すると晴れる」

「停まっているバスに乗ろうとして近づくと発車する」

など、一時流行ったが、もともとは、「失敗する可能性のあるものは、いずれ失敗する」(Whatever would go wrong should go wrong.) という意味だったと思う。

これは財務報告統制の世界では、誤謬と不正の関係で使える説明だ。
誤謬も不正も財務報告という観点では虚偽記載につながるという意味では同じであるが、
虚偽記載を意図して行なわれたものかそうでないかによって不正と誤謬とは区別されている。

財務報告統制では不正のリスクは必ず評価しなければならない。不正は意図的に行なわれるために、発見されないように巧妙に仕組まれる。誤謬が発見されないということは不正は当然に発見されないので、不正の防止・発見という観点からは誤謬はそれなりの重みを持って受け止めねばならない。

小さなエラーだといって眼をつぶっていると、それが堤防の蟻の一穴となってとんでもないことになる可能性がある。かといって全ての蟻の穴を塞いでいると時間もコストも追いつかない。つまり評価は経営判断に任されている。

経営は結果責任である。したがって万全に対応していたとしても重大な結果を招いた場合には、経営者は判断に対し責任を問われる立場だ。かといって妙に神経質になることもない。どういう重大事に至ることを想定していたかをきちんと説明し、それに対処すれば、
少なくとも想定が合理的であれば、結果責任は問われても不作為の責任(プロセス責任)は問われることはないだろう。

不正が出た場合、結果責任として監査が問われることがあるが、それは間違いで監査はプロセス責任なのである。なぜなら、決算は経営者の責任の下に行なわれる経営行為の一つだからである。

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