業務フローチャートの描き方

2007年12月8日 | By 縄田 直治 | Filed in: 財務報告統制.

前回DFDを用いたフローチャートの描き方を説明した。

内部統制の整理に当たっては、「プロセスフローチャート」と呼ばれる形式の流れ図が用いられていることが多いが、このプロセスフローチャート(PFC)の記載方法については、定まった方法論が明確になっておらず、実務ではかなり色々なバリエーションが見られる。大目的は、(1)会計記録の、(2)信頼性をどのように確保しているか、を表現することにある。

PFCが表現しようとしていることが何かという点をきちんと整理すれば自ずと描き方は決まってくると考えられるので、ここに整理したい。

  • 目的:業務が何をきっかけに始まり、何が達成されたら終わるかが分かる
  • 手順:業務上の手順(手続の順番)がどのように流れているかが分かる
  • 主体:誰がその手続に関わっているかが分かる
  • 時点:業務手順と(会計)情報との関係が明らかである。 (いつのタイミングで会計データが生成されるか)
  • 事象:業務手順と(会計)イベントとの関係が明らかである。(どういう出来事が会計データの根拠となっているか)
  • 記録:データがどこに記録されるかが明らかである。
  • PFCは基本的には、「何をどうする」という表現で業務手続を並べて手順化する。ここで難しいのはデータが記録されるシステムや帳簿の表現で、統制手続の記録と、会計データの記録とを混乱しているケースもよく見られる。

    例えば、「経費伝票を上長が承認(押印による)したら、支払管理システムにデータを入力する。」という手順があった場合、承認されたことを経費伝票に記録するところまでを表現しようとすると、経費伝票をフローチャートに入れることになり、ドキュメントフローチャートになってしまう。そこは、素直に「上長は経費伝票に押印により承認を記録する」と記載するか、別途「承認は伝票への押印によって行なう」という基本ルールを定めておけばよい。

    一方、経費のデータはシステムに入力されなければならないが、これはシステムという一つの独立した手続主体なので、フローチャートの独立した「当事者」として重要な処理を記載できる。

    あるいは基本帳票などの状態遷移を入れるという手もある。これは、業務フローの当事者に並行して、帳票名を記載し、フローの各ステップから矢印を伸ばして、帳票の状態を「白紙」⇒「摘要欄と金額の記載」⇒「上長の検印」⇒「経理部の受付印」⇒ 「経理部の仕訳入力印」⇒「保存」という流れを表現していくものだ。これは伝票類が、それぞれの業務手順と連動してどのように変化していくかということを段階的に表現できるメリットがある。事後的に見るとサインがたくさん並んでいる稟議書などが、どうしてそのような形になったのかを表現できる方法だ。

    参考までに、電話受注から発送までの流れをPFCにし、受注システムがどういう「状態」でデータを管理しているかを表現してみた。

    salesProcess.png

    なおこのフローチャートは、Change Vision Inc.のJude Community 5.1.1を用いて作成した。

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