業績回復期の税効果

2007年11月4日 | By 縄田 直治 | Filed in: 会計原理.
「過年度に未計上であった繰延税金資産の回収見込額を見直した結果、第21項の判断要件を満たすことになった場合には、回収されると見込まれる金額まで新たに繰延税金資産を計上する」こととなっている(個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針-日本公認会計士協会会計制度委員会報告第10号-平成10年12月22日最終改正 平成19年3月29日)。
第21項の判断要件とは将来期間において課税所得が発生する可能性が高いことを意味している。  

この基準は、評価益の計上を認めていない現行会計制度からするとかなり挑戦的な内容である。まして繰延税金資産が分配可能利益を構成するため、運用次第では蛸配当の可能性も否定できない。
 
税効果資産は将来の税金費用として取崩されることを前提とした資産である。ということは税金軽減効果が確実でないとして一旦取崩された資産をあえて回復させる必要が本当にあるのかどうか極めて疑問である。
本来は、繰延税金資産が発生した年度に将来の回収可能性を判断して評価引当した額については、復活させることなく実際の税金軽減効果があった期に法人税等発生額の減額として認識されればよいのではないか。
仮に復活させれば必ずその期の税金費用はいびつになる上、将来の所得というあやふやな資産がまた計上されてしまうことは、必ずしも健全とは言えないのではないか。
 
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