再発防止策

2007年7月6日 | By 縄田 直治 | Filed in: 統制の監視.

不祥事が露見した会社が会見でよく述べる言葉--今後はチェック体制の充実を図り、ルールの運用を徹底し、再発防止に努めたい。

残念ながらこういう会社は同じ誤りを繰り返す。その理由は、 

(1)チェック体制の充実を図り

チェックをいくら充実しても、チェックされるべき体質、つまり問題が発生する原因を捉えない限りは、もぐらたたきに終始する。同じく、全件チェックが無理である以上、いくら充実を図っても不祥事は発生する。むしろ、いかにチェックが不要となるような方法を採るかが肝要だ。

(2)ルールの運用を徹底し

ルールがそもそも組織にあっていないかもしれないことを考慮していない。守れないルールをいくら「徹底」しても守れないことに変わりはない。

(3)再発防止

再発は「再発生」を意味するのか、「再発覚」を意味するかは、きちんと糾すべきである。無論、再発生を防止すべきであるが、再発覚であれば「今度はばれないようにしたい・・・」ということか。

(4)努めたい

再発を防止するといわず努めたいというところには、いくら努力しても無理なことがあるという弁解の余地を残した言い方だ。裏返せば、精神的に努力していれば責任は逃れられるかもしれないという甘い考えがある。

また、「つとめたい」というのは、「そうしなければならないけれども、組織ってのはいろいろしがらみがあってねぇ・・・できないこともあるんだよ」と言っているに等しい。せめて「務める」と発言して欲しいものだ。

当然だが、再発防止策というのは、内部統制のフレームワークに照らせば、以下の点を明らかにすることに他ならない。

1.発生した原因を周辺環境を含めて構造的に明らかにする(統制環境)

2.再発する可能性を評価する(リスク分析)

3.「勘所」をおさえる(コントロール手続)

4.何を監視し報告させるかを決定する(モニタリング、情報伝達)

それをただ「再発防止に努めたい」と言っていること自体が、やる気のなさを表明することになるやもしれず注意が必要だ。

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