内部統制報告書に対する監査報告書

2009年6月16日 | By 縄田 直治 | Filed in: 財務報告統制.

内部統制評価制度の初年度のピークがやってきた。
この6月に相当数の内部統制報告書が提出されることになるが、EDINETを覗くと、ぼちぼち提出されていることが分かる。

この内部統制報告書は有価証券報告書の一部ではなく、有価証券報告書の添付書類という位置づけになっている。しかし、公認会計士の監査報告書は連結財務諸表に対する意見と内部統制報告書に対する意見が一つの監査報告書に一体で発行されている。「一体監査」という建前を貫くとそういうことになる。

このため、従来のように有価証券報告書の原本ファイルに監査報告書を綴じこむと、内部統制報告書が宙に浮く形になっている。

多くの会社は、原本を手元に保存する際に、有価証券報告書と内部統制報告書を一冊のファイルに保存することで対応するのだろう。一昔前、連結財務諸表が有価証券報告書よりも1ヶ月後に提出されていた時代には、それぞれに監査報告書が綴じられていたことを思い出す。

実は、金融庁はEDINETに提出されたものが正本であるという解釈をしており、公認会計士はあくまでも発行した(紙の)監査報告書が綴じられた有価証券報告書が「原本」であるという解釈であるため、EDINET上では特に問題が発生しない。

尤もこの問題は、内部統制報告書に限らず、同一有価証券報告書に綴じられる個別財務諸表と連結財務諸表の監査報告書がなぜ「一体」で作成されないのかという問題も呈しているように思える。

制度が電子化されるにつれて、こういった思わぬところで些細だが重要な問題が発生することになる。

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