裸の王様

2007年4月13日 | By 縄田 直治 | Filed in: 情報と伝達.

内部統制とは何か、という質問に答えることは非常に難しい。確かに文献に書いてある制度の定義が一つの答えではある。しかし、複数の制度がある場合に定義が同じでなければ、「そもそも」の説明ができていなければ、その制度での定義の意味合いも分からない。

特に経理の専門家ではない経営者の人に「財務報告の・・・」といっても「ピンと来ない」とか「腹落ちしない」と言われるのが眼に見えている。

たとえば、説明の一つとして「経営者が裸の王様にならないように対処する一連の活動」というのはどうだろうか。

この「裸の王様」には複数の意味が込められている。以下の三つの質問がポイントだ。

Q1)不祥事が起こっても「私は知らなかった」と言えないという意味。つまり会社でおこっている情報(特に悪い情報)が、きちんと上がってくる仕組(もちろん把握する基準があることが前提)があるか。

Q2)そのために、経営者が周囲にどういう人を配置しているか、言ってみれば阿諛追従する茶坊主だけでなく大久保彦左衛門がいるかどうか。

Q3)経営者が報告だけに頼らず自ら状況を把握するよう行動しているか。経営者の「思い」が現場で行動となって現れているかを、自ら状況判断しているか。

実際に業務が起こっている現場にて経営者が感じるさまが、普段得ている情報の感覚と大きく異なるようであれば、そもそもそれは報告が悪いのではなく、経営者が用意した報告態勢に改善課題があると考えねばならないのだろう。

組織は間違いなく経営者に伝える情報を「選別」している。「殿の御耳に入れなければ・・・」というのは「殿の御耳に入りでもすれば・・・」と裏腹だ。

Print Friendly, PDF & Email

Tags:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

超難解計算問題 *