EDINETは、有価証券報告書をはじめとする公式な開示情報を5年分程度ストックし公衆の縦覧に供する社会インフラであり、金融庁が設置し管理運営している。企業の開示情報が24時間アップできるようになっており、また検索も可能なのだが、これが使いにくい。
そもそもほしい開示データであるXBRLファイルに直接アクセスする手段がなく、いちいち検索画面で検索してはダウンロードしなければならない。XBRLは財務データにタグをつけることによってソフトウェアから扱いやすくするという意図で開発されたものだが、そもそものデータにアクセスしづらいのであれば、行政窓口対応のIT版のようなものになってしまう。
もっとも開示データを公衆に提供するのがEDINETの役割であって、それ以上の利便性は行政の責任ではないという極めて役所的な論理もありそうだが・・・。
一方で、データの信頼性という観点で考察すると、EDINETのXBRLデータは、ハッシュデータなどによる真実性認証が出来る環境にない。つまり、EDINETから取り出したという事実はその当人しかわからないわけで、一旦取り出されたデータが流通する過程で改竄されてしまうと困った問題が起こる。これがデータ加工業者によるものであれば、データ加工業者としての責任が問えるのだが、ごく一般大衆の中でXBRLの開示データが扱われるためには、簡単に扱えるのみならず、簡単に真正性が確かめられる仕組みが必要である。
これは言うまでもなく、認証という仕組みだ。この認証には最低限2つの機能が必要だ。
一つは、EDINETから離れた場所にあったデータでもEDINETに登録されているものと同一データであるということが確かめられること。
さらにもう一つは、監査報告書も改竄されてはならないので、その中の財務情報が、会計監査人が監査したものと同じであることを確かめられることである。
この2つが機能して初めて正式な財務情報「ファイル」の流通が可能になる。
当然に、会計監査人の証明は電子署名による証明にならざるを得ない。
さて、そういった動きはまったく聞こえてこないが、ビジョンすらないのかもしれない。何かの事件が起これば対応されるのだろうが、それを待つというのも無責任である。