相関関係と因果関係

2017年11月18日 | By 縄田 直治 | Filed in: 統計.

「XXを導入すれば、YYができる」という詐欺まがいの話は、後を絶ちません。
大体は、「このツールを使えば、業務が効率化する、楽になる」という話に集約されます。
思えば、子どもの世界では、「この参考書を読めば・・・」「この塾に通えば・・・」「このお稽古事をすれば・・・」が普通ですし、大人の世界では、例を挙げるのがバカらしいくらいですが、「元気はつらつ」「痩せる、または、筋肉ムキムキ」「儲かる」が三大YYです。

統計の世界では、XX⇒YYという関係は、相関関係の有無や強弱として理解されます。
注意しなければならないのは、相関関係は因果関係ではないということです。

XXとYYとの間に何らかの関連性があるということは、必ずしも、YYの原因としてXXがあるというわけではないということですね。

例えば・・・。

湘南海岸の海の家で、とある名物ソフトクリームを売っている店がありました。
日によって売れ行きに多少の山谷はあるものの、人気があったので毎日コンスタントに売れていました。
ところが、店主はあるとき、売上の多い日に限って水難事故が増えることに気が付き、気持ちが悪いので販売を停止すると決めました。

ソフトクリームの売り上げと水難事故との間には何らかの相関関係があることは、店主に限らず客観的なデータで事実として示すことができます。
しかし、常識的に考えて、ソフトクリームが売れることで水難事故が増えるはずはありません。気温が高くなることで海水浴など水遊びをする人が増えれば、海の家の売り上げも増えるし、海難事故も増えるというだけのことです。事故の原因はあくまでも不注意などであって、気温の上昇ではありません。

相関関係の中に因果関係を見出すのはあくまでも人の科学的な判断です。言い方を変えれば、因果関係の有無を証明するために相関関係の有無を持ち出しているに過ぎません。

「1週間XXを食べたら、YYになりました」というのは相関関係の表明です。「使用者の感想であり個人差があります」と小さな字で言い訳が必ずついています。個人差のばらつきについては、統計では分散ないしは標準偏差で表されますが、前記のような広告にはまったく説明がありませんし、標本抽出の条件や母集団についての説明もまったく提供のない情報です。あくまで個人の感想ですから。

それらしい説明を鵜呑みにしないこと。

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