子会社投資の評価と連結決算

2007年3月14日 | By 縄田 直治 | Filed in: 制度会計.

金融商品会計基準では、子会社株式の投資は原価法で評価することになっており、実質価額が著しく下落した場合には、減損処理をしなければならないことになっている。
連結決算においては子会社投資は持分と相殺されて消えてしまうので、子会社株式の評価問題は、通常は個別財務諸表での論点となる。

純粋持株会社を想定すると分かるのだが、この基準には子会社の純資産の悪化を認識するタイミングに連結と個別との間でずれを生じさせるという課題がある。
連結決算上は子会社の業績が悪くなったら、そのまま連結純資産に反映されることになる。しかし、個別決算上は「著しく下落」しなければ、投資の減損は認識されない。

個別決算に持分法を採用すれば、連結純資産と個別純資産は一致することになる。しかし、持分法を適用した場合には、逆に子会社が利益を生み出した場合にも持分法利益を認識することになるため、投資の評価について評価益の計上を禁じている制度の趣旨にそぐわなくなってくる。これは配当可能利益計算において子会社の利益は一旦は親会社に対して配当されなければ、親会社において配当できないということにつながる。

連結剰余金は、分配可能利益なのかそれとも単なる評価差額なのか、その概念定義を明確にしておく必要があるのではないか。

Print Friendly, PDF & Email

Tags:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

超難解計算問題 *