財務捜査官が見た不正の現場

2014年2月22日 | By 縄田 直治 | Filed in: 不正.


最近は、不正と名のついた本が目に入るとつい買ってしまう。
本書は、不正と言っても主として反社会的勢力との取引に関わる企業不正について扱っている。著者は、銀行員、財務捜査官を経て現在はCIA/CFEとして活躍されており、本書では主として財務捜査官時代に培ったと思われる見識を披露している。

いくつかのポイントがあった。

1.不正な取引は完全に防止することは難しいが、むしろ発見した際の対応が肝要である。銀行と反社会的勢力との取引も、取引そのものよりも発覚した後の対応を怠っていたことが批判されている。
2.一般人が巻き込まれる大型詐欺事件の特徴
高利回りを謳う
既に集金や配当の「実績」がある
経営者のメディア露出が高い
3.職場で働く人は、善悪の判断基準を組織に求めるのではなく、自分でも判断する力を備えておかないと、「ババ」を引くことになる。(つまり、これをやっていれば安心という考え方が危険ということだ)
4.組織は、色々な情報集めを自ら行いながら、警察等とも協力して、自ら取引の適否を判断しなければならない。(一方的に行政に頼るな)

読んでいて難しさを覚える部分はなかったが、改めて不思議に思えるのは、反社会的勢力という組織などが公的に認知されているという事実だ。これは警察などもわかっていても手を出せないという状態なので、やはり自ら判断せよという著者の意見は、肝に銘じておかねばなるまい。

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